活動レポート

「2018年度川崎市予算案」についての学習会を開催しました

2018年2月21日

180221-予算学習会の模様2月21日、「2018年度川崎市予算案」について、市民のみなさん参加のもと、共産党市議団主催の学習会を開催しました。以下のような、予算案の分析を私(市古)が報告し、市民のみなさんと交流しました。

交流のなかでは、「生産緑地の改定に伴う、更なる宅地化による影響について」「障がい者支援策の拡充は」「仮に介護保険料の値上げと値上げをしない場合の一般会計からの繰入額は」などの質問が寄せられました。

「2018年度予算案」の特徴について

歳入について――川崎市の財政は・・・

川崎市の新年度一般会計予算は7,366億円で、4年連続で過去最大の規模です。市税収入は3,479億円で5年連続過去最大。財政力指数は政令市新年度もトップ。唯一の地方交付税不交付団体。

減債基金は2018年度末で2,305億円になる予定。2017年度は243億円積み増しをした。9年後の2027年度には3,023億円になる予定。これは市税収入に匹敵するもの。財政健全化の指数はすべてで基準値を下まわっており、極めて優良になっている。

なのに、2月7日、一斉に各新聞社が福田市長の記者会見での予算案発表を受けて報道をした内容はどうか。そのなかでは、「市債の償還財源である減債基金から196億円借り入れて歳入不足を埋めるという『禁じ手』頼みの財政運営が2023年まで続く」という論評でほぼ共通している。

巨額にため込んでいる減債基金額についてはまったく触れられていない。深い分析もせず、市長側の説明を鵜呑みにして報道していることは残念。「禁じ手」というが、一般家庭なら、家計収支に充ててから、残った分を貯金に積み立てるのが当然。

今年度、その市債返還予定額は353億円。予算の段階では減債基金に453億円積み立てる。そこで196億円収支不足になるというのなら、196億円を減らした257億円だけ積み立てても、減債基金残高は2,109億円、そこから市債の返還予定の353億円を返済してもまったく問題なく、それでも減債基金残高は1,756億円。それでも毎年の市債償還金の5倍の積み立て分がある。

ちなみに市民一人当たりの市債残高は563,353円で、政令市平均664,992円の平均以下で10万円ほど少ないのです。

それでも市長は、ふるさと納税の影響による個人市民税の減収、法人市民税の国税化など、税制改正などの影響が大きく、一般財源総額の大きな増加は見込まれない状況とか、近い将来には川崎市においても少子高齢化のさらなる進展と人口減少への転換、生産年齢人口の減少が予想されていることから、今後極めて厳しい状況になることが見込まれる、と危機感を煽ろうとしています。

ちなみに川崎市の年少人口のピークは2030年度です。あと12年あります。一人当たりの個人市民税は政令市で断然トップで、政令市平均は6万円なのに川崎市では8.2万円と、2万円以上高い。

1人当たりの扶助費・社会保障関連費の額は政令都市の平均以下です。個人市民税は政令市で最高額なのに、市民が納めている市民税の額にふさわしい扶助費・社会保障関連予算が少なすぎるということです。

どう市長があれやこれやと理屈をつけて財政力が厳しいことを強調しても、財政の豊かさは事実が示していて、川崎市の財政は極めてゆたかです。これが市民の福祉・くらしに充分還元されているかどうかです。

新年度の歳出予算案はどうなっているでしょうか

「子育てしやすいまち」では・・・

小児医療費助成制度では、入院医療費助成の所得制限廃止を市長選で約束したが、予算案では「所得制限廃止に向けた取組みの推進」だけ、すぐやるわけではない。予算額はゼロというのには、唖然とする以外ない。

政令都市で、対象年齢が小学6年生までにとどまるのは、川崎市だけ。全国的にみても、最低レベルになっている。これで「どこよりも子育てしやすいまち」などと言えたものではない。

川崎らしい特色ある健康給食・小中9年間にわたる体系的・計画的な食育の推進とあるが、タニタとの包括協定に基づく健康プログラムの実施はあるが、いちばん必要な栄養士の配置のことはなにもない。

いま、センター給食における学校には栄養士は一人も配置されていない。自校調理でやっている中学校にはすべて栄養士が配置されていて、教室にも出かけ、生きた食教育が行われている。

この差は大きいのでは。ちなみに残菜をみても、自校方式とセンター方式では今の時点で差が出ている。

「わかる授業の実現」では、英語教育の充実はあるが、少人数学級の拡充は一切ない。熱心なのはボランティア中心で金がかからない「地域の寺子屋」の推進。そのなかでもずっと私達が要求してきた、トイレの快適化はすべての市立学校でスピードをあげて実施の予定。

就学援助事業も大きく前進することに、長い間就学援助問題はさまざまな角度から取り上げてきた。必要とされる児童・生徒に使われていない実態があり、10年ほど前に就学援助の受給率が高い足立区を視察。

ここでは、名前が書かれている封筒で申請書を渡し、全員から回収することがすでに行われていた。すぐ、川崎でも提案し、教育委員会は渋っていたが、その後担当課長のがんばりで、名前はないものの、ほぼ足立方式で実施できるようになった。その後、受給率は高まった。

しかし、まだ必要な児童・生徒に使われていないのでは、と議会で取り上げてきた。新年度から、全員に申請書を学校経由ではなく、郵送し、全員から回収することをめざし、教育委員会でも申請を受け付けることとなる。中学生のみならず、小学校への入学準備金も入学前に支給されることになる。

「みんなが生き生きと暮らせるまち」では・・・

総合的な地域ケアシステムの推進といっても22億円ほど予算削減。全庁あげて、地域包括ケアシステムが目玉施策とされているが、専門職である保健師、助産師など増やす様子はない。

高齢者・障がい者施策では・・・

この間、公的施設の再編整備が打ち出され、「公設施設のなかで、行政が果たす役割は、直接サービス提供から、制度全体のコーディネートなど、行政でなければできない分野において期待がされている」として、給付費のみでは運営が困難な施設(療育センター、身体障害者福祉会館、障がい者情報文化センターなど)を除き、運営を完全民営化の方向に。

特別養護老人ホームの整備は、相変わらず遅れている。計画中のものも、公募がない、として目処がたっていない箇所もある。入所申し込み者管理システムを拡充し、複数施設への一括申請などが実現できる方向。

介護保険料について、2018年度からの第7期の基準介護保険料を現行より285円引き上げて5,825円としたい、としている。

いまでも、支払い能力の限界にきている。一般会計からの繰入で値上げすべきではない。現在、保険料は14段階で徴収されているが、多段階化、特に1,000万円以上は1,500万円以上、2,000万円以上などに分け、料率を上げて徴収し、低所得者の負担を軽減するなどの努力が必要。保険料・利用料の減免制度を拡充すべきだが、まるでやる気なし。

国民健康保険が制度改革で、2018年度より都道府県と市町村が共に保険者になる。川崎市は引き続き、保険証の発行、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保険事業などを担う。今回の国保制度改革により、国は、法定外の一般会計繰入のうち、決算で保険料の未収額分を補填するやり方は計画的・段階的に解消・縮減すべきとしている。

保険料については、保険料率が決まる6月になるが、国民健康保険事業は法定外繰入がないとますます保険料が跳ね上がる。国は保険料の極端な引き上げで国民が反発することは避けたいとの思いから、自治体に対して、法定外繰入を解消・縮減することを急がないように言っている。今のところ厚労省の資料などみても、川崎市の保険料は上がる要素はないと思うが、注視していく。

コミュニティバスについても、高齢者への支援補助金は増額するとしているが、それ以外の運営費補助などは進展なし。

中小企業の支援・商業の振興については、中小企業活性化条例に基づき、地域経済の発展に大きく貢献する中小企業の技術力・製品開発力の強化や販路拡大などうたうが、予算は15億円も減額。リフォーム助成もやる気なし。都市農業の振興予算も減額。就業の支援予算も減額。

「みんなの心がつながるまちをめざす」では・・・

オリパラを契機にした「かわさきパラブームメント」を打ち出し、予算も5億円ほど増額(英国代表チームの事前キャンプ受入のための等々力陸上競技場整備など)するが、障がい者スポーツ施設の充実については極めて冷たい。専用スポーツ施設をつくる気はさらさらない。

「世界に輝き、技術と英知で、未来をひらくまち」をめざすで、その力の入れよう、予算額をみてもトーンが大きく上がる。

予算案でみる主な臨海部の大規模事業関連予算の全容は別紙のとおり。なかでも、羽田連絡道路の整備(総額300億円――単年度48.8億円――3月補正予算で81億円に。

臨港道路東扇島水江町線の整備(総額540億円――単年度25.0億円)。港湾物流機能の強化でリニア新幹線の残土の受け入れによる堀込部の埋め立て(総額240億円――単年度66.5億円)など、大規模開発が目白押し。

大規模事業関連予算は、今年度は総額124億円余だったが、新年度は208億円余と大幅増加。

昨年の商工会議所を筆頭に業界丸抱えと事実上のオール与党体制に支えられ市長選挙を通過して、福田市長は2期目へ。新年度予算でまさに業界と自公政権に丸ごとかかえられた形の福田市長の政治姿勢が明確になってきた。

川崎の豊かな財政を限りない大規模開発事業につぎ込み、住民には「地域包括ケアシステム」を施策の中心にすえて、地域の助け合いとシステムづくりで行政の責任を後景に追いやり、おしなべて行政サービスを民間にゆだねる市政運営は、自治体の本旨から言ってもまったく相いれないもの。

批判するものはきちんと批判し、市民の要求実現のためには積極的に提案を粘り強くしていきます。議会最終日になりますが、共産党は予算組み替え動議を提出する予定です。