議会活動報告

決算審査特別委員会での質問 (3)ナノ医療イノベーションセンターについて

2018年9月26日

3. ナノ医療イノベーションセンターについて

(市古) ナノ医療イノベーションセンターについて、臨海部国際戦略本部長に伺います。キングスカイフロントのライフサイエンス分野の拠点形成となる先導的な施設として、川崎市の依頼により川崎市産業振興財団が事業者県提案者となって整備された「ナノ医療イノベーションセンター」です。

この間、建設費35億円のうち川崎市から貸付金10億円、8,000平方メートルの用地は川崎市がURから16億4,000万円で購入し、無償で貸与しました。

その後、2015年度から7年間の「立ち上げ期間の支援」として、「共有スペース等に係る維持管理費の一部負担・負担金総額9億円を上限とする支援を決めました。2015年から2017年度まで、そのうちの6.3億円が市負担分として支出されており、残りは2.7億円です。

支出では、施設運営費でみると2017年度では、そのうち施設管理費として2.1億円余、研究支援事業費で1.6億円と分けられています。

収入で見た場合、賃料収入は2017年度、1億8,000万円余で、目標賃料収入の約半分です。2.1億円の賃料が入ってくるのは基本協定に基づく目標入居率を90%達成した場合となっていますが、2018年8月現在で入居率は54.9%で、2018年度の目標入居率65%も約10%満たしていません。立ち上がり支援期間はあと3年余です。支援期間が終わるまでに、90%は達成できるのか、伺います。

(キングスカイフロントマネジメントセンター所長)(以下、センター所長と記します) 産業振興財団と本市が連携して誘致活動に取り組むことにより、平成29年度に3社10室、平成30年度前半に4社9室の新規入居がありましたことから、引き続き誘致活動を進めることで、基本協定の協定期間終期である平成33年度末において、目標入居率が達成できるものと考えています。

(市古) 仮に支援期間までに90%の入居率を達成できなかった場合、どのように施設管理費を捻出していくのか、伺います。

(センター所長) 施設管理費については、産業振興財団と連携した誘致活動を継続し、目標入居率を達成し賃料収入の確保に努めていきたい。

(市古) 努力することはわかりましたが、支援期間までに達成できなかった場合、さらに支援期間の延長はないのか、伺います。

(センター所長) 施設入居については、産業振興財団と連携した誘致活動を継続し、目標入居率を達成し賃料収入の確保に努めていきます。また、基本協定に基づく立ち上げ支援については、目標入居率を達成することにより賃料収入を確保し、平成33年度末をもって終了する予定です。

(市古) 国からの研究費の獲得についてです。2016年度から片岡センター長が東京大学から研究プロジェクトを移管したことで、多くの研究費を獲得することになったとありますが、すでに終了している補助金もあります。

いちばん大きい研究費はCOIプログラムですが、COINZは文科省の「革新的イノベーション創出プログラム」の採用事業と思いますが、この事業は2013年度から2021年度までの9年間の事業で、研究自体は7年で一区切りを迎え、最長でも9年で終わると聞きます。国の主要な補助研究が終わることとなります。

となると、あと3年ですが、川崎市との協定である「立ち上げ期間」の終了は2021年度ですが、研究の一区切りと同時期です。今後の国の研究事業獲得の見通しを伺います。その後の収支見通し、特に「立ち上げ期間」と「COINZ]事業終了後はどうなるのか、伺います。

(センター所長) 国の研究事業の見通しについては、COINZ終了後も、研究内容やその進捗に応じて国費や企業からの共同研究費を始め、様々な財源の確保に取り組んでいきます。

収支の見通しについては、目標入居率を達成することにより、施設管理費は賃料で概ね賄えると考えており、研究活動については、産業振興財団と本市との協業により、国費や企業からの共同研究費など様々な財源の確保に取り組んでまいります。

(市古) 2015年3月議会で改めて、「立ち上げ期間に限り、期間及び負担額の上限を明確にし、センター共有スペース等に係る維持管理費の一部負担などの支援をおこなう」と答弁されました。ここにきて「施設運営を施設管理と研究支援事業に分けて管理・運営していくことが必要である」とか「研究活動の一層の活性化や安定的な運営を図り、研究費の更なる獲得や、研究成果をより早く世に出すため、産業振興財団と市の連携による戦略的な対応を行うことが必要である」としています。

施設運営費のうち研究支援事業費として1.6億円余が区分けされていますが、この分を今後川崎市と財団で支援強化していく、これは川崎市として、新たな財政出動をするということと思いますが、伺います。

(センター所長) 研究支援事業については、iCONMにおいて展開されている「がん」や「認知症」などの治療法の実用化に向けた研究が、社会的におおきな意義を有していることや、国内外の研究機関やプロジェクトとの連携により、キングスカイフロントの価値向上に大きく貢献し、さらにシビックプライドの醸成にも繋がりますことから、イノベーション創出の更なる促進に向けて、本市と産業振興財団との協業により、研究支援事業を強化する取組みを進めることとしたものです。

(市古) 2017年度は研究支援費として1.6億円余ですが、来年度以降財団と川崎市の連携でさらに研究支援を強化していくということになると、年間1.6億円以上の川崎市の支出が毎年おこなわれていくということですか、伺います。

(センター所長) イノベーション創出の更なる促進に向けて、本市と産業振興財団の協業により実施するものです。この事業については、市費に加え、国費や企業からの共同研究費など様々な財源により実施されるものです。その事業内容などについては、今後、産業振興財団と検討し具体化を図っていきます。

(市古) 市の財政出動は、市費負担額に歯止めがないことがわかりました。さらに、この仕組みができた以上、研究支援の強化というかたちで、期限もなく川崎市が財政出動を続けていくということになると思いますが、伺います。

(センター所長) こうした革新的な研究における国内外の研究機関やプロジェクトとの連携により、キングスカイフロントの価値向上に大きく貢献し、さらにシビックプライドの醸成にも繋がっています。こうしたことから、イノベーション創出の更なる促進に向けて、本市と産業振興財団との協業により、研究支援事業を強化する取組みを進めることとしたものです。

(市古) 支援について期限もないことがわかりました。市内経済の波及効果について伺います。大々的な研究が行われているわけですが、実用化までには一番早い研究でどの程度かかるのでしょうか、伺います。

(センター所長) iCONMの中核研究プロジェクトであるCOINSプロジェクトでは、ウイルスサイズのナノマシンを活用した「体内病院」というコンセプトの実現を目指して、がんやアルツハイマー病、膝関節症など、高齢化社会で課題となっている疾患をターゲットとした研究をすすめているところです。

iCONMに入居するナノキャリア株式会社では、狙ったがん細胞に抗がん剤を届けるナノマシンの臨床試験、治験を国内外で実施しているところで、国内においては、膵がんの臨床実験が最終段階まで進んでいると聞いています。

また、脳内に薬剤を届けるナノマシンの開発や、膝関節の軟骨細胞を再生する技術の開発などが進んでいて、その研究成果の事業化に向けてiCONM発のベンチャー企業が2社設立されるなど、今後の実用化が期待されるところです。

(市古) 研究成果を生かした市内企業・特に中小企業での実用化、市場化による経済波及効果はどのくらいになるのでしょうか、伺います。さらに、市民の雇用拡大はどのくらい期待できるのでしょうか、伺います。

(センター所長) iCONMにおける先端的な研究成果を、今後成長が期待される新産業の創出につなげることが重要と考えています。これまでにiCONM発のベンチャー企業が2社設立され、研究成果の事業化に取り組んでいるところで、今後も、産業振興財団と本市との協業により、研究の促進に取り組むとともに、革新的な医薬品等の開発に携わるベンチゃー企業が次々と生まれるような取り組み、キングスカイフロントの成長を牽引してまいりたい。

また、昨年より、キングスカイフロントに立地する機関等を対象に研究や事業活動のニーズや技術の強みを把握し、市内企業等との連携を目指す取り組みをすすめていて、これまでに、立地機関や関連する市内企業や関連する市内企業70機関へのヒヤリングを実施し、さらに数件の商談がすすんでいるところです。

こうした拠点全体としての活動を通じて、市内産業との連携や既存産業の新分野進出、雇用拡大などにつなげてまいりたい。なお、キングスカイフロントの全体の雇用ですが、これまでの拠点形成の取り組みにより約4,600名が就労し、32年度には5,700名となる見込みです。

(市古) 答弁ですと、市内企業と現在9件のマッチングが実現し、さらに数件の商談がすすんでいるということでした。この9件について具体的に伺います。雇用の拡大についてですが、ナノ医療イノベーションセンターそのものでの雇用は研究センターですから今後もほとんどないということですか、伺います。

さらにキングスカイフロント全体ではこれまで約4,600名が就労しているということですが、ここに立地するヨドバシカメラとケータリングでこのうちの3分の2ほど占めていて、研究・学術部門は3分の1くらいということでしょうか、伺います。さらに、2020年度にはあと1,100名ほど就労が増えるといいますが、その具体的見通しについて、伺います。

(センター所長) 現在までに9件のマッチングが実現したところです。ナノ医療イノベーションセンターにおいては、現在100名を超える研究者等が活動しているところですが、研究プロジェクトの内容や進捗、共同研究入居企業数の推移、ベンチャー企業の設立等に応じて、状況が変化するものと考えています。

ナノ医療イノベーションセンターについては、キングスカイフロントの中核的な役割を果たす施設として、拠点全体の価値向上に貢献しており、雇用創出に繋がっているものと考えています。

キングスカイフロントの就労状況については、立地機関へのアンケート調査を通じて、その時点の状況と将来見込みを伺い、これに基づき就労人口の推計を行っているものです。なお、その結果は、就労人口の集計値のみを公表させてもらい、企業別の内訳などについては、非公開としているところです。

(市古) 研究支援の強化であるということで、新たな市費投入の枠組みをつくり、際限のない市費負担が続けられていくことが明らかになりました。

後は総括質疑に譲り質問を終わります。

(以上)